気をつけたいこと…
- 正しい姿勢を心がけ、肥満解消を実践する
横になると痛みは治まるものの、座ったり仰向けだと痛むなら、
仙腸関節症候群(せんちょうかんせつしょうこうぐん)かも。
仙腸関節症候群は腰を前に屈めると痛む場合が多く、
正座なら大丈夫なのに、他の座り方をすると腰が痛む、
仰向けで痛む、出産後に痛みだしたなどの
さまざまなケースがあります。
仙腸関節症候群とは骨盤の骨である
仙骨(せんこつ)と腸骨(ちょうこつ)の間にある関節(仙腸関節)が
不具合や炎症を起こして痛むものです。
レントゲン、CT、MRIなどの画像検査では
判別しにくく、触診で判断します。
仙腸関節症候群は片側の腰とお尻の辺りが痛み、太ももや足にかけても痺れが走ることもあります。症状が椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症に似ているため、注意が必要です。
また若い女性に多いのも特徴の一つ。
特に偏平足の女性がそうです。偏平足だと、かかとの骨が内側に傾くために重心が不安定になります。これが歩行などで仙腸関節に負担をかけ、痛みを発生させる原因となることがあるのです。
さらに妊娠中や出産後に骨盤の開きが起こり、重心が変化することで症状が出ることもあります。
まれにギラン・バレー症候群(主に筋肉を動かす運動神経が障害され、四肢に力が入らなくなる特定疾患)や脊髄炎(せきずいえん・胸から下にビリビリするしびれ感が起こる病気)などウイルス感染による炎症で起こることもあります。
腰に負担をかける姿勢を極力とらず、正しい姿勢を心がけます。重い物を持ち上げたり、前かがみの姿勢で作業を続けたりしてはいけません。
肥満体質であるなら、まずはそれを解消しましょう。太っているとどうしても腰に負担がかかるためです。脂質は控えめに。
ストレッチなどでの筋力トレーニングも症状緩和に有効ですが、下手に着手して却って症状が悪化することもありますので、専門医に相談の上で実施しましょう。
他の腰痛症の疑いも加味して画像検査をし、触診で仙腸関節症候群かどうかを判断します。
身体から出血させずに治療する治療を保存療法と呼びます。整形外科では仙腸関節症候群の治療はおおよそ保存療法から始めます。
まず「痛みを緩和する」ために消炎剤、鎮痛剤、筋弛緩剤を内服します。痛みが激しい場合は神経ブロックを実施することもあります。神経ブロックとは局所麻酔剤を注入し、痛みの伝達を止める手法ですが、血液が凝固しにくい体質だったり、薬剤へのアレルギーや血液疾患がある場合は受けることができません。
また状況によってはコルセットを装着することもあります。
AKAとはArthrokinematic Approach(関節運動学的アプローチ)の略語で、仙腸関節を手で軽く動かして治療することにより体の痛みを軽減する治療法です。研究開始から30年ほどという新しい手法のため、メカニズムの全容解明はできていませんが、一定の効果を上げています。
とはいえ、AKAを騙った素人治療をする整体院などもあるので、受診の際は日本AKA医学会認定の専門医、指導医を訪ねるようにしましょう。認定専門医・指導医は日本AKA医学会公式サイトから検索できます。
稀なケースですが、上記のどの治療を行っても症状が緩和せず、日常生活に強い支障をきたす場合、仙腸関節の微小な動きを止める仙腸関節の固定手術を行います。
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骨粗鬆症による腰痛の対策