他の病気による腰痛の対策2

前項に引き続き、腰痛を引き起こす他の病気を挙げていきます。
該当するものや心当たりがあれば、
すみやかに担当科を受診しましょう。

女性医師

58:子宮筋腫を疑う

子宮筋腫とは子宮にできる良性の腫瘍

うずくまる女性

30代女性の2~3割が子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)になると言われるほど、女性にとって身近な病気でもありますが、良性ゆえに命にかかわるものではありません。
それでも不妊症になるなどのおそれもありますので、治療は必須です。

病院では問診、内診そして超音波検査、MRI検査を通じて子宮筋腫かどうかを診断します。
腫瘍が見つかった場合は手術となりますが、腫瘍のみを摘出する子宮筋腫核出手術と、子宮を全て摘出する子宮全摘出手術のどちらかを選択します。前者の手術だと子宮を残しますので、妊娠も問題なくできます。妊娠の必要性が一切ない場合は、後者を選択すれば子宮筋腫の再発や子宮がんに罹患するおそれがなくなります。



生理が終わっても腰痛が続く

悩む女性

生理中に一時的に腰痛になるだけでなく、そのあとも腰痛が続く場合、子宮筋腫を疑ってみましょう。

子宮筋腫の場合、腫瘍の成長によって骨盤神経が圧迫されて腰痛が発生します。
同様に膀胱を圧迫して頻尿や排尿時の痛みが起きることもあります。
いずれにせよそのような症状の時点で腫瘍がかなり大きくなっていることが考えられますので、すぐに婦人科へかかりましょう。

59:子宮内膜症を疑う

子宮内膜症とは子宮内膜が子宮外で増殖する良性疾患

物思いにふける女性

子宮の内側の膜が、卵管、卵巣、腹膜や腸などで増殖し、腰痛を引き起こすことがあります。これを子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)といいます。
最初は痛みはないものの、年月の経過によって徐々に痛みが強くなります。

20~30代の女性に多く、安静にしていても痛みが治まらないのが特徴です。



安静時でも腰が痛みます

沈む女性

生理痛がどんどん酷くなったり、月経の時以外にも下腹部が痛む、安静にしていても腰が痛む、腰痛が悪化していく、排便痛、子宮の奥が痛むなどの自覚症状がある場合は、婦人科を受診しましょう。

病院では問診、内診そして超音波検査、MRI検査を通じて子宮内膜症かどうかを診断します。
診断の結果子宮内膜症と診断された場合は、ホルモン治療をてがけ、改善しないときは腹腔鏡手術、病巣が大きいときは開腹手術を施術します。


60:急性腎盂腎炎を疑う

尿路に発生する細菌感染症

思い悩む女性

尿道から細菌が侵入することにより発症する病気で、数ある尿路感染症で一番症状が強いものが急性腎盂腎炎(きゅうせいじんうじんえん)です。
細菌が血液の流れの中に入って増殖し、毒素によって中毒症状をおこしたり、さまざまな臓器に感染をおこす敗血症の原因となってしまうこともあります。

これもやはり女性に多く見られる病気ですが、もちろん男性も発症します。


風邪と間違いやすい

悩む男性

初期症状としては、腰痛のほかに、寒気でぞくぞくしたり、身体のふるえを伴う高熱、 わき腹が痛む、吐き気、嘔吐などがあります。

単なる腰痛だけでなく上記のような風邪に似た症状がある場合は、泌尿器科か内科を受診しましょう。問診、検尿、血液検査をして診断し、抗生物質や抗菌薬を投与すれば通常は3~5日で熱が消えて好転します。
重篤な場合は入院処置が必要になります。


61:胆石を疑う

胆石とは肝臓から送り出された胆汁が胆管で固まったもの

ガツガツ食べる男性

胆石(たんせき)はコレステロール胆石色素胆石の大きく2種類に分けられ、大半はコレステロール胆石の患者です。
その名の通りコレステロール値の高い食品の摂取量が多いと、肝臓が余剰のコレステロールを処理できなくなくなります。それが結晶化したものが胆石です。

その胆石が胆のうから胆のう管、胆管に移動するとき、結晶が大きいと管を詰まらせてしまい、自覚症状が出ます。



食後に腰が痛みます

悩む男性

多くは食後1~2時間後に吐き気や嘔吐、鋭くきりきりとした痛みがみぞおちや右脇腹、背中、そして腰に起こります。痛みはずっと続くわけでなく、30分~数時間で消えていきます。

このような症状に心当たりがある場合は消化器内科か外科を受診しましょう。
病院では血液検査、超音波検査、CTスキャンなどで検査し、小さな胆石が発見された場合は、服薬により胆石を溶かす治療や、体外から胆石に向かって衝撃波を当てて胆石を破砕する体外式衝撃波破砕療法(ESWL)などで治療します。
胆石がある程度大きい場合は内視鏡を使った手術、さらに大きい場合は開腹手術を施します。


62:うつ病を疑う

うつ病と腰痛は非常に密接な関係

悩む男性

うつ病とは、いつまでも気持ちが沈んだままで復活しない状態が続き、意欲や興味が減退し、判断力の低下や不安感に襲われるなどの症状を持つ、心と精神の病気です。

心は身体と表裏一体。精神が弱って来ると当然身体にも影響が現れます。頭痛やめまい、息切れ、下痢、便秘、生理不順、食欲減退、胃もたれ、だるさ、肩こり…さまざまな症状がありますが、そのひとつに腰痛があるのです。


原因がよく判らない腰痛なら

悩む男性

主にストレスにより自律神経のバランスが崩れると筋肉や靭帯が過緊張を起こしやすくなります。原因が判らない腰痛の場合、それが腰痛として現れていることも十分に考えられます。

整形外科や他の診療科で受診しても特に異常が無いと言われた場合や、さまざまな治療を試しても効果がないようならば、うつ病が原因ということも考慮してみましょう。受診科は精神科、心療内科になります。



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→ 生活習慣における腰痛対策

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