生活習慣における腰痛対策10

毎日の食事はすぐに身体に影響を及ぼすわけではありません。
しかし、数か月経ち、1年経ちと時間が経過するに従って
その影響は大きく出てきます。
どうせ食べるのならば長い目で見て腰に良い栄養を。
ここではグルコサミン・コンドロイチンについて見て行きましょう。

フライパンを持つ女性

95:グルコサミン・コンドロイチンって何?

名前はよく聞くグルコサミン・コンドロイチン

グルコサミンって?

カニ
▲カニの殻にも含まれています

よくメディアで耳にするグルコサミン(Glucosamine)とはアミノ糖の一種で、貝の殻、動物の骨、骨髄に存在する物質です。

グルコサミンは、特に軟骨においてそのクッション性の働きに欠かせない物質。クッションが減ってしまうと骨同士が直接ぶつかり、痛みを発生してしまいます。
加齢によりクッションを構成する物質は減少するため、それを補うべくグルコサミンを補給すれば、消耗した軟骨を再生し、痛みが緩和する…という仕組みだとよく言われています。


コンドロイチンって?

グルコサミンと並んでコンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate)という物質の名前も耳にすることでしょう。コンドロイチンと呼ばれることの方が一般的で、アミノ酸を含む多糖の一種。納豆やオクラ、フカヒレや豚足などにも含有されています。

納豆
▲納豆にも含まれています

コンドロイチンはグルコサミン同様に軟骨に存在し、加齢とともにすり減って行く軟骨の摩耗を緩和する働きがある…とされています。

グルコサミンとコンドロイチンはそれぞれサプリメントが販売されており、単体のもののほか、双方を配合したものなどがあり、サプリメントの摂取により腰痛の緩和が見込める…とされています。


96:グルコサミン・コンドロイチンって効くの?

医学的根拠はまだない

医学論文でも意見は対立

肝心の効果のほどですが、グルコサミンもコンドロイチンも腰痛に効くという立証はできていません。数々の医学論文でも、その効能について見地が発表されていますが、「効いた」という論文もあれば、「効かない」という論文もあります。「効いた」とされる場合でも、臨床実験のターゲットを絞ってあったりするので、万人に効くというものでもありません。

一方、コンドロイチンに関しては医療現場において腰痛の治療に使用されています。ただし、コンドロイチンの液体を直接患部に注射する方法であり、いわゆるサプリメントで摂取するような経口摂取ではありません。


薬を内服する

内服薬が効く仕組み

頭痛がするときに薬を内服しても、飲んだ薬は胃に行ってしまいます。それなのにどうして頭の痛みが取れるのだろう?
こんなことを考えたことはありませんか。

それは薬が胃や腸で消化・吸収され、薬効成分が血液に溶けて血管内を通り、脳まで到達するからです。
グルコサミンやコンドロイチンを内服しても同じこと。やはり最終的にその成分は血管を通って全身を巡ります。


ではなぜ効かない?

答えは単純。
軟骨には血管が通ってないからです。どんなに良い成分でも必要とされる箇所に届かなければ効果を発揮することはできません。


97:結局どうなの?

プラシーボ効果かも

しかし効く人もいる

念じる男性

よく効く薬だ、と偽って小麦粉を患者に服用させたところ、症状が改善された…という話を聞いたことがある人も多いかと思います。いわゆるプラシーボ効果(プラセボ効果・placebo)と呼ばれるもので、思い込みによる暗示的効果で病状が和らぐことです。

病は気からという諺は、実はそのとおりな部分もあるということ。グルコサミンやコンドロイチンで腰痛が治ると暗示にかかっていれば、症状が改善することは普通に考えられます。
実際にグルコサミンやコンドロイチンのサプリメントで腰痛に効果があったと言う人も大勢いるわけです。


他の要因も?

またプラシーボ効果ではなく、他の理由で症状が改善されたと見るむきもあります。

グルコサミンにしてもコンドロイチンにしても、身体に悪影響を及ぼすものではありません。代謝や免疫の部分で何らかの好影響を与えた可能性もあります。
ただどちらにせよ、現在の医学ではその部分は確定できていません。

服用経験がないのならやめておく

くすり

これまでグルコサミンやコンドロイチンを服用してきて、効果があったのならば、服用を継続することはやぶさかではないでしょう。

しかし、今までに服用経験がないのであれば、わざわざあえて飲む必要性はないと言えます。


副作用もある

またサプリメントだから身体に悪いことはなにもない、という発想も危険です。
吐き気、胸焼け、下痢、便秘 、傾眠、皮膚反応、頭痛、動悸などの副作用があることも。

さらに既往症への影響もあります。
糖尿病、高脂血症(脂質異常症)、高血圧の人はその症状が悪化するおそれがあります。
ワルファリンやヘパリンなどの抗凝固薬を使用している患者の場合、 薬効が増長して出血するおそれがあります。
また特にグルコサミンは甲殻類に由来するので、カニやエビなどの甲殻類アレルギー保持者にはアレルギー反応を引き起こすおそれがあります。

以上の点を踏まえて、グルコサミンやコンドロイチンを服用するかどうかを判断しましょう。結局のところ、服用するもしないも自己責任なのです。



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