
前項までにさまざまなタイプの腰痛と
その対策を紹介しましたが、そのどれにもあてはまらない場合や、
どの症状なのかが曖昧な場合、
他の病気から腰痛が発生していることも疑われます。
ただの腰痛だと放置しておくととんでもない事態を招きますので、
根本たる病気の治療を即実施することが先決です。
骨で発症する悪性腫瘍(骨腫瘍)のうち、発症例が最も多く年間で全国で200例近い患者を抱えるのが骨肉腫(こつにくしゅ)です。
10代や20代に多く発症し、他のガンの転移による場合もあり、身体のさまざまな部分で発症します。
腕やふとももなどのできものが肥大化し、最初は痛みを感じなかったものが肥大化とともに痛みを増して激痛となります。
初期症状として歩行走行や跳躍、投擲などの行為で関節が痛みますが、安静にしていると静まっていきます。ただの筋肉痛かと思って見落としがちです。
また、腫瘍が脊髄に転移すると、腰痛が発生します。
こぶのようなできものができ、大きくなっている気配があればすぐ、整形外科で採決検査とレントゲンを撮りましょう。骨肉腫と診断された場合は骨軟部腫瘍専門の高度な専門医を紹介してもらい、治療にあたります。化学療法と手術で対処します。
骨肉腫と似ていますが、骨の中の骨髄で、細菌やウイルスを防ぐ抗体という物質を作る血液細胞が悪性腫瘍になるものを、骨髄腫(多発性骨髄腫)と呼びます。
高齢者に多く見られ、60歳代後半から70歳代で特に多く発症します。
骨髄腫が骨に浸潤していくと、骨が溶かされて神経を圧迫、また骨折を引き起こします。平行して貧血がひどくなり、免疫力が低下。感染症にかかりやすくなる、精神障害、意識障害などを招きます。
検診などで血液や尿の値が異常だということから発覚するケースや、腰痛が続くので検査してみたら発覚するケースが多く、じわじわと悪化していくため骨髄腫だと気付きにくいのが特徴です。
初期症状としては鼻血などで出欠しやすくなり、血が止まりにくくなる、めまい・動悸・息切れがする、すぐ風邪をひく、腰痛、骨折しやすくなる、尿が減る、不整脈などがあります。
骨軟部腫瘍の専門の医師ないし血液内科で、おもに抗ガン薬とステロイドの併用による治療となります。
腎臓から膀胱を経由して排出される尿。膀胱でカルシウムやアンモニウム、尿酸が結晶化したものも一緒に排出されるのですが、その結晶が尿道より大きいと管を塞いでしまい、腎臓で尿が作られるにつれ圧力が高まって激痛がおこります。これが尿管結石(尿路結石)です。
男性に多く発症し、わき腹や背中側あたりに激痛が走ります。
痛む部位が腰に近いことから、腰に異常が発生したと思われがちです。
ただ背中や腰が痛むほかにも、尿に血が混じる、尿が濁るといった特徴もありますので、おかしいと思ったら泌尿器科で相談してみましょう。
治療は薬物療法、ないし「体外衝撃波結石破砕術」と呼ばれる音波を当てて結石を壊し、細粒化してしまう方法をとります。
…NEXT
他の病気による腰痛の対策2