骨の骨密度が下がってしまうと
ちょっとしたことで骨折してしまいがち。
その腰痛、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)が原因かも?
骨粗鬆症と診断された場合、
それが原因で腰痛が発症することがあるのです。
骨粗鬆症とは骨の中にあるカルシウムが抜けて減少し、
骨の密度がスカスカに粗くなって、
強度が劣化する症状のことです。
骨粗鬆症は、女性、特に閉経を迎える50歳代からのホルモンの変化が主な原因とされていますが、カルシウム不足によるものなので、若年層であっても偏食や不摂生で発症することがあります。
骨粗鬆症そのものは腰痛になりません。
ただし、強度を失った骨はもろいため、ほんのわずかの衝撃で骨折してしまいます。たとえば重いモノを持ち上げたときや、尻もちをつくなどの些細な衝撃でも折れてしまうのです。外傷や椎骨の弱まりによる椎骨の崩壊を圧迫骨折と呼びますが、この圧迫骨折により神経を圧迫して痛みが生じます。
激しい痛みは2~3週間で緩和していきますが、圧迫骨折が続くと、痛みは慢性化し、背中が丸くなり背も低くなります。
まずは自身の骨量を把握しておきましょう。保健所や医療機関で検査できます。
骨密度検査は骨塩定量検査とも呼ばれ、骨に含まれるカルシウムなどのミネラル成分の量を測定します。基本的に、腰椎正面で測定した骨密度で判断します。
検査法は大きく3種あります。
超音波法は、超音波が伝わる速度や強さが骨の部分で変わることを利用して測る一番簡単な方法です。
MD法はレントゲンを用いて測定する方法で、DEXA法(デキサほう)は高低2種のエネルギーのX線を照射して測定します。DEXA法は超音波法よりも精度が高いのが特長で、全身のどの部位でも測定が可能です。
骨密度が若年成人の8割以上だと正常、7割を切るようだと骨粗鬆症と判定されます。
全てはカルシウム不足から起きるものなので、カルシウムを意識して摂取します。
一般的に知られる牛乳や小魚のほか、桜エビ、チーズ、油揚げなどの豆腐製品、パセリ、シソ、ゴマ、ひじきなどもカルシウム豊富です。
また注意しておきたいのが、いくらカルシウムを摂取しても、リンを多く摂ると骨からカルシウムが溶けだしてしまうので、清涼飲料、インスタント食品、スナック菓子などのリンを多く含む食品は控えるようにしましょう。
同様に骨の形成に必要な栄養素にビタミンDがあります。魚に多く含まれていますので、シラスやイワシを食べればカルシウムと同時にビタミンDも摂ることができます。
骨粗鬆症による腰痛の場合、身体を冷やすのはよくありません。冬季は暖房を効かせて患部周辺を温めます。
また日光に当たるのもポイントです。骨の形成に必須になるビタミンDは食物からだけでなく、日光浴をすることで自身で形成することもできます。ただし紫外線の浴び過ぎはシミ・そばかす・皮膚がんなどの要因にもなるため、日向ではなく、木陰などにいるだけで充分です。ほどほどで切り上げましょう。
せっかく木陰で紫外線を浴びる時間を作るなら、ついでに運動もしてしまいましょう。骨を伸ばす筋肉を鍛えておくのも重要です。背を伸ばしたり、膝を曲げ伸ばししたり、ウォーキングするのが効果的です。
内分泌代謝内科は大病院にしかありませんが、整形外科が対処療法なのに対し、内分泌代謝内科では最初の骨折を起こさないよう未然予防する対策を中心に処方します。
具体的には骨の破壊を抑える薬と、骨の形成を促進する薬を併用し、運動療法と食事療法を組み合わせて治療していきます。
既に腰が痛む場合は、圧迫骨折を起こしている恐れが高いということですので、整形外科での外科的治療を必要とします。
まず鎮痛剤を投与し、破骨細胞の活動を阻害し骨の吸収を抑えるビスフォスフォネート製剤やラロキシフェンなどで投薬治療をします。
また、変形した椎体が神経を圧迫したり、脊椎骨折の治りが遅く、異常な動きがある場合、手術に踏み切ることもあります。手術には骨移植を行って脊椎を直接金属プレートで固定する方法と、リン酸カルシウム骨セメントを注入する方法があります。
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他の病気による腰痛の対策